荻原浩『海の見える理髪店』を読みました。

荻原浩『海の見える理髪店』

2016集英社 第155回直木賞受賞作

「海の見える理髪店」「いつか来た道」「遠くから来た手紙」「空は今日もスカイ」「時のない時計」「成人式」の6作収録。

タイトルになっている『海の見える理髪店』は、「書き方」がとても面白いです。

店主のお喋りは「」が使われず”地の文”で書かれています。語り部のようによく喋る店主。これを店主の視点と言い切っていいのかわかりませんが、一応1つの視点だと思います。

そして、客である主人公の視点もあって、そちらは1人称です。

店主の喋りと主人公の心の言葉は1行空白で切り替え。ストーリーの中に「」は数えるほどしか使われていません。「」は他者の言葉と、強調にのみ使用。

まとめると、
店主はずっと客に向かって喋っている。客である主人公は、ほぼずっと理髪店での状況描写をしている(心の内で)。

この書き方で、互いがいつ噛み合うのか?
内容もいいのですが、この書き方からどういう結末になるのか、緊張しました。

詳細はお読みくださいませ。

カバーをとるとカモメ。

とてもキレイな装丁の本なのに、帯に朱書きで「祝!直木賞受賞作」と書かれて売られていました。荻原さんの受賞はすごく嬉しいことだけど、帯と本とのギャップが……。

もとい。

短編の中では『空は今日もスカイ』が私は好きです。
英語に変えるだけで、ほんと、違う世界に行った感じがするし、いつもと違う自分になれる感じがする。

言葉遊びに長けた荻原さんらしいアイディア。ストーリーは、子どもの好奇心からの冒険の話しかと思ったら……まるで違ってました。こういう子どもを助けることの難しさ。

その他のお話もじわじわと良かったです。

やっぱり文章の最後に著者っぽい括りがちょいちょいあって、荻原さんらしい文章だなぁと思いながら読みました。さほど著者に詳しいわけではないけど、言葉のアイディアが面白い作家さんだと思います。

荻原さんの長編も面白いけど、短編もギュッと詰まって素敵でした。
私は荻原さんの作品が好きなのかもしれない。

●この帯。せめて半透明にするとかどうでしょう。

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