百田尚樹『モンスター』を読みました。

エピローグの読解が楽しかったです(個人の感想)。

『モンスター』

百田尚樹 (2012 幻冬舎文庫)(単行本 2010 幻冬舎)

百田氏が『永遠の0』の次に書かれた作品。

映画化されてますね(高岡早紀さん主演)。
私はまだ観ていません。

(※ 多少はネタバレします)

続きやラストが気になって、ページをめくる手が止まりませんでした。
しかも、文章がリズミカルで読みやすい。

主人公がどこへ到達するのか、最初からずっと気になって一気に読了。
本を閉じて、ふぅ~っと一呼吸おきました。

整形、風俗、暴力、性描写、いじめなど…
闇なエピソードを多々含みながらも、これは純愛小説でした。

主人公の田淵和子(後に鈴原未帆)は、整形するために風俗で働いてせっせとお金を稼ぎます。整形のことも風俗のことも、なかなか詳しく書かれていて、勉強になりました。

和子のそれまでを思うと、「整形も風俗も頑張って!」という気持ちが沸いてきます。
そう思うほど容姿が切実なのが伝わってきて…。

美しく生まれ変わったのだから、昔のこと全部忘れて生きればいいのに…と思ったけど、主人公は自分は「和子」なんだということから離れられない。

そして、
幼児期の、たった1つの淡い思い出が、支えにもなり、足かせにもなり。

とても切ないお話です。

エピローグについて(個人の見解)

本編のラストに関しては「なんか百田さん優しいなぁ」と感じました。

ここで著者の名前を出すと深みに入れませんが……悲しいのだけど、思ったよりも優しいラストでホッとしました。

そして、その後の「エピローグ」がまた別のラストへ導きます。

最初にエピローグを読んだとき、
主人公が人生を捧げた男はこの程度の男だったんだ…
男なんてみんな同じだ…

と思ったのですが……

「アケミ」のことを思い出しました。

アケミは、彼に殺されました。
彼は、アケミを他の男にやりたくないと思って殺しました(これは主人公の見解)。
「殺されるほど愛されるって、なんて幸せなんだろう」と主人公は言っています。

だから、
主人公の遺体第一発見者(店員)の証言は「一緒にいた男は主人公を放置して見殺しにした最低男」ということでしたが(これも店員の見解)…

英介は主人公を本当に愛して、誰にもやりたくなくて「殺した」のだったら、主人公の解釈で考えれば、最高の愛を得て「殺された」のだと思います。主人公は直前に、他の人と結婚するとか言い出してますし。

そうなると、エピローグのおかげで、本編のラストよりも更に、大ハッピーエンドになったことがわかります。

けして手を叩いて喜べる内容ではないけど、主人公の思いは達成されたのかと。

文章作品の成せる業。
疲れるほど、面白い作品でした。

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